NISAで一番買われている日本株を「いつもの物差し」で測る — 三菱UFJの値動きのクセ

NISA

※本記事は値動きの統計的な特性記述(教育目的)であり、特定銘柄の売買を勧めたり、将来の値動きを予測したりするものではありません。約3.5年(2023-01〜2026-07)の統計にもとづきます(数値基準日: 2026-07-09)。
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SBI証券が公表しているNISA口座の買付金額ランキング(2026年1〜3月・日本株)では、任天堂(7974)・三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)・NTT(9432)が上位に並びます(出典: SBI証券 投資情報部、2026年4月公表)。知名度が高く、配当や株主還元が安定した大型株に資金が集まる——NISAらしい顔ぶれです。

このうち三菱UFJは、当サイトが銀行株カルテで実測済みです。「NISAで長く持つ」前提の人ほど知っておくと役立つ、値動きのクセを測った数字で紹介します。

三菱UFJの実測値

市場β 為替β 業種β 説明力R² 純固有ドリフト PBR現在(期間レンジ)
三菱UFJ(8306) +0.71 +0.31 +0.88 78% +70% 1.65(0.61〜1.73)

読み方はこうです。

その1: 値動きの8割近くが「市場と業種」で説明できる。 説明力R²は78%、業種因子(他のメガバンクとの共通の動き)まで含めると86〜88%。つまり三菱UFJの日々の上げ下げは、会社固有のニュースよりも「相場全体」と「銀行セクター全体」でほぼ決まっています。メガバンク3行は日次ではほぼ「1つの銘柄」のように動く、というのが銀行カルテの主要な発見でした。

その2: 「安定」のイメージは日次の値動きには当てはまらない。 市場β+0.71は日経平均が1%動くと0.7%程度ついていく感応度で、暴落時にはしっかり下げます。実際、2024年8月5日の歴史的急落では銀行株も大きく下げました。配当が安定していることと、株価が揺れないことは別の話です。長期保有前提なら、この揺れをあらかじめ知っておくと急落時に驚かずに済みます。

その3: この3年半は「業種まるごと再評価」の期間だった。 純固有ドリフト+70%——因子で説明できない上振れが3年半で+70%分ありましたが、これは3行ほぼ共通(+70〜84%)で、金利正常化にともなう銀行業への再評価が主因と整理できます。PBRは0.61倍から1.65倍へ。逆に言えば、メガバンク間の「どの1行を選ぶか」が日次リターンにもたらした差は、この期間とても小さかった——銀行カルテでも正直に書いた点です。

NISAという文脈で読み直す

前回の実測で見たとおり、NISAの非課税は「利益が出る長期保有」で最も素直に効きます。長期で持つなら、途中の含み損の期間に耐えられるかが実務上の分かれ目で、そこで役立つのが「この銘柄はふだん何で動くのか」という統計の土地勘です。市場βが0.7あるなら指数が2割下がる局面で同じくらい下がるのは「異常」ではなく「仕様」——そう知っていれば、狼狽して損益通算もできないNISA口座で損失確定という展開を避ける判断材料になります(もちろん最終判断はご自身で)。

ランキング上位の任天堂とNTTはまだ測っていません。銘柄カルテの今後の候補に追加します。

この回の持ち帰り

  1. NISA買付上位の常連・三菱UFJの値動きは約8割が市場と業種で説明できる(実測)
  2. 配当の安定と株価の安定は別物。市場β+0.71は暴落時にしっかり下げる感応度
  3. この3年半のメガバンクは「業種まるごと再評価」。個社選びの差は小さかった
  4. 長期保有前提こそ、値動きのクセ(β・業種連動)を先に知っておく価値がある

出典・手法: NISA買付ランキングはSBI証券 投資情報部「2026年1〜3月 NISA買付ランキング」(2026-04-23公表)。統計値は当サイト銘柄カルテ共通の回帰による因子分解(株価データはYahoo Finance)。詳細は銀行株カルテ参照。

※本記事は値動きの『クセ』の特性記述(教育目的)であり、特定銘柄の売買推奨・将来予測ではありません。

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