高値から下げたあと、戻るまでに何日かかったのか — 日経平均36年分の実測

相場解説

日経平均は2026年6月25日に72,366円の高値を付けたあと、7月29日には61,434円まで下げました。8月14日の終値は68,713円で、高値からは−5.1%の位置にいます。

こういうとき、「戻るまでどれくらいかかるものなのか」は誰でも気になります。将来は分かりませんが、過去に何が起きたかは数えられます。1990年以降の全営業日(8,985日)を対象に、下落局面を「高値 → 底 → 高値回復」の3点で切り出して測りました。

※本記事は教育・解説を目的としたものです。特定の銘柄の売買推奨ではなく、今後の値動きを予測するものでもありません。以下はすべて過去の記録です。

① 測り方 — 「高値からどれだけ下にいるか」

その日までの最高値(終値ベース)を基準に、そこからの下落率を毎日計算します。これをドローダウンと呼びます。ドローダウンが0%なら高値更新中、−15%なら高値より15%低い位置にいる、という意味です。

下落局面は次のように区切りました。

  • 高値: 局面の起点となった終値の最高値
  • : その高値を取り戻すまでの間で最も安かった日
  • 回復: 終値が元の高値を超え直した日

「底までに何営業日」「底から高値回復まで何営業日」の2つを数えます。

② 2013年以降の11局面

まず、直近の相場つきに近い2013年以降(3,327営業日)を見ます。高値から10%以上下げた局面は11回ありました。

高値の日 下落率 底までの営業日 高値回復までの営業日
2013/5/22 −20.4% 16 115
2013/12/30 −14.6% 68 109
2014/9/25 −11.3% 15 10
2015/6/24 −28.4% 245 319
2018/1/23 −14.5% 41 131
2018/10/2 −31.8% 352 154
2021/2/16 −11.3% 125 17
2021/9/14 −19.4% 117 292
2024/7/11 −26.3% 178 86
2026/2/27 −13.2% 21 12
2026/6/25 −15.1% 23 (未回復)

回復済みの10局面について、底から高値を取り戻すまでは中央値112営業日・平均124営業日。最短は2014年の10営業日、最長は2015〜2017年の319営業日でした。営業日ベースなので、112営業日はおよそ5か月半にあたります。

深さと時間は、思ったほどきれいには対応していません。−31.8%(2018年10月〜コロナ)からの回復は154営業日だった一方、−19.4%(2021年9月〜)は292営業日かかっています。「浅い下げだから早く戻る」とは限らない、というのが記録の姿です。

③ 同じデータの中にある、34年の話

日経平均: 高値からどれだけ下にいたか(1990年〜)

ここまでの数字だけを見ると「数か月待てば戻る」と読みたくなりますが、期間を1990年まで伸ばすと風景が変わります。

  • 1990年1月4日の終値38,712円を終値で超え直したのは2024年2月22日。間に8,380営業日(約34年)あります
  • 1990年以降の全営業日のうち、高値から10%以上下にいた日は93.8%20%以上下にいた日は90.1%
  • 同じ数字を2013年以降で測ると、10%以上下は29.7%、20%以上下は4.2%

上のグラフは、日経平均が「直近高値からどれだけ下にいたか」をそのまま塗ったものです。1990年代から2010年代前半までは、ほぼ全期間が水面下でした。日本株の投資家が34年かけて経験したのは、「下げても数か月で戻る相場」ではありません。

つまり「平均112営業日で戻る」は、2013年以降を切り取ったときの数字です。切り取る期間を変えれば、答えは変わります。過去の平均が将来の待ち時間を教えてくれるわけではない、という当たり前のことが、同じ1本のデータの中で確認できます。

④ 1日で大きく下げた日は、その後どうだったか

1990年以降で1日の下落率が大きかった10日と、その20営業日後(およそ1か月後)の水準です。

日付 その日の下落率 20営業日後
2024/8/5 −12.4% +23.0%
2008/10/16 −11.4% +0.1%
2011/3/15 −10.6% +12.0%
2008/10/10 −9.6% +6.4%
2008/10/24 −9.6% +8.8%
2008/10/8 −9.4% −6.7%
2016/6/24 −7.9% +11.2%
2025/4/7 −7.8% +18.6%
2013/5/23 −7.3% −10.2%
2000/4/17 −7.0% −10.4%

10日のうち7日は1か月後にプラスですが、2008年10月8日と2000年4月17日、2013年5月23日はさらに下げています。そしてプラスに戻った日でも、高値から見ればまだ大きく下でした。たとえば2008年10月24日は1か月後に+8.8%ですが、その時点でも高値から70%以上下にいます。「反発した」と「戻った」は別の話です。

⑤ 記録から言えること

  1. 2013年以降、10%以上の下落は11回。回復済み10局面の中央値は112営業日(約5か月半)
  2. 深さと回復時間は対応しない。−31.8%が154営業日、−19.4%が292営業日という順序の逆転が実際に起きています
  3. 1990年からの34年は、そのすべての例外。高値回復に8,380営業日かかり、全営業日の9割は高値から20%以上下にいました
  4. 暴落日の翌月は上下どちらもある。10日中7日はプラスでしたが、そこから下げ続けた例も残っています
  5. どの期間を切り取るかで結論が変わる。この記事の数字は「過去がこうだった」以上のことは言いません

いま日経平均は6月25日の高値から−5.1%の位置にいます。それが何営業日で埋まるのか、あるいは埋まらないのかは、過去のどの平均値にも書かれていません。数えられるのは、過去にどれだけの幅があったかだけです。

出典・手法: 日経平均株価(^N225)の日次終値はYahoo Financeより取得し、当サイトが集計(2026-08-16実行、対象は1990-01-04〜2026-08-14の8,985営業日)。ドローダウンは終値ベースの累積最高値からの下落率です。なお日経平均の史上最高値は1989年12月29日の38,915円87銭ですが、取得できるデータが1990年1月4日からのため、本記事の「1990年の高値」は同日の終値38,712円88銭を指します。集計スクリプトはリポジトリの scripts/drawdown_recovery.py として公開しています。

※本記事は過去データの集計(教育目的)であり、特定の銘柄・売買タイミングの推奨や将来の値動きの予測ではありません。過去の回復日数が今後も再現されることを示すものではありません。


関連記事: お盆相場は本当に閑散なのか / 日経平均の上昇は、ほとんど「夜のあいだ」に起きていた / 熊本地震と株式市場

コメント

タイトルとURLをコピーしました